・必ずクレームの範囲内は効果が高く、範囲外は効果が低いという結果になる。
・重要項目であり、発明者しか記載できない。
【実施例】の記載について
・クレームの範囲内に該当する実験データを実施例という。
・クレームの範囲外に該当する実験データを比較例という。
・実施例は【発明の効果】に記載した効果が高く、比較例は低いというラインナップであることが必須。
■例:食品包装用フィルム
クレームの内容 | 発明が解決しようとする課題 | |
請求項1 | 熱可塑性樹脂と、青色着色剤と、白色着色剤と、 を含有する食品包装用フィルム。 | 視認性○、製膜性○、生産性○ |
請求項2 以降 | 省略 | 省略 |
この例の場合、
−どんな熱可塑性樹脂を使用しても、
−どんな青色着色剤を使用しても、
−どんな白色着色剤を使用しても、
−この他に何を追加しても、
熱可塑性樹脂と、青色着色剤と、白色着色剤と、を含有する食品包装用フィルムは請求項1に該当するので、視認性○、製膜性○、生産性○という実験データになっていなければならない。
しかし、実際の研究開発の現場では、請求項1の要件を満たしさえすれば、どんな材料を使用しても、どんな材料を追加しても効果が発揮される、という現象は通常起こりえない。
(例の場合、どんな熱可塑性樹脂、青色着色剤、白色着色剤を使用しても、また、何を追加しても、視認性○、製膜性○、生産性○になる、ということは通常は起こりえない。)
しかし、【実施例】は、どんな熱可塑性樹脂、青色着色剤、白色着色剤を使用しても、また、何を追加しても、視認性○、製膜性○、生産性○という実験データにしておかなければならない点に注意。
尚、特許明細書は論文とは異なるため、自身が不利になる実験データ(例の場合、ある熱可塑性樹脂、青色着色剤、白色着色剤を使用した場合や、あるものを添加した場合に、視認性、製膜性、生産性が良くならない場合があった、という実験結果)は明細書中に載せる必要はない。