何をすると特許権の侵害になるか?

ポイント!
・他人の登録特許の特許請求の範囲(クレーム)の内容を実施すると特許権の侵害となる
・ただし、家庭内/個人的な実施や、試験/研究のための実施は特許権侵害にならない。

 何をすると特許権の侵害となる? 

・他人の「登録特許」「特許請求の範囲(クレーム)」「実施する」と特許権の侵害となる。

 登録特許とは? 

・特許権を取得するためには特許庁に特許出願をし、更に、特許庁の審査をクリアする必要がある。
・特許庁の審査をクリアする前の特許出願を公開特許という(公開特許≠特許権)。
・特許庁の審査をクリアした後の特許出願を登録特許という(登録特許=特許権)。
・審査をクリアするためには、一般に特許出願内の特許請求の範囲(詳細は後述)を修正する必要がある。
・公開特許は特許権になる前の段階であるので、特許権の効力(差止め、損害賠償請求権)は無い。
・公開特許の例(食用ストローの発明)
・登録特許の例(上の公開特許が審査をクリアして登録特許となったもの)
→登録特許の下線部が審査をクリアするために修正した箇所。

 特許請求の範囲(クレーム)とは 

・特許出願は、公開特許、登録特許どちらも、
1:書誌事項
2:要約
3:クレーム(特許請求の範囲)
4:明細書本文
5:図面
から構成される。
→公開特許における1〜5の具体例
→登録特許における1〜5の具体例
・1〜5を全てまとめて「明細書」という。
・クレームとは、権利範囲を示した箇所。
→公開特許のクレームは権利範囲として特許庁に申請している箇所
→登録特許のクレームは権利範囲として特許庁から認められた箇所
・3:クレームの箇所に記載されていない内容は権利範囲にならない。
→1〜2、4〜5に記載されているが、3:クレームに記載されていない内容は権利範囲外。
・一般にクレームは「AとBとCを含む○○」という形をしている。
→「含む」は「有する」、「備える」、「からなる」などと表記されているケースも多い。

 実施するとは? 

・実施とは、生産、使用、譲渡、輸出、輸入、譲渡の申し出、を行うことを意味する。
・前掲の登録特許の例では、
「生産」はクレームに記載の食用ストローを作り出すこと。
「使用」はクレームに記載の食用ストローを使って飲料を飲むことなど。
「譲渡」はクレームに記載の食用ストローを有料、無料問わず他人に渡すこと。典型例は「販売」。
「輸出」「輸入」はクレームに記載の食用ストローを海外へ輸出する、海外から輸入すること
「譲渡の申し出」は積極的に譲渡等を行うことの意思表示を意味する。
→クレーム記載の食用ストローを販売するために店頭に陳列する、広告に掲載する行為などが該当。

 実際のクレームを使用して解説 

<一般論>
・一般にクレームは「A、B、Cを含むX」という形をしている。
→この場合、「A、B、C、Dを含むX」を実施すると権利侵害になる。
 A〜Cを全て実施し、更にDも実施していると解釈されるため。
→この場合、「AとBを含むがCを含まないX」は権利侵害にならない。
 A〜Bは実施しているが、Cを実施していないため。

<前掲の特許公報の特許請求の範囲>
【請求項1】
A:液体を吸い上げることが可能であり、かつそのまま食料となる食用ストローであって、
B:馬鈴薯を棒状に切断してブロック片を形成し、
C:前記ブロック片を食用油で揚げた後、前記ブロック片の両端部を切断してなることを特徴とする
X:食用ストロー。

<解説>
■例1
A:液体を吸い上げることが可能であり、かつそのまま食料となる食用ストローであって、
B:馬鈴薯を棒状に切断してブロック片を形成し、
C:前記ブロック片を食用油で揚げた後、前記ブロック片の両端部を切断して、
D:油であげたブロック片の表面を味付けした
X:食用ストロー。

Dの要件を更に加えて実施した場合も特許権の侵害となる。
(A〜Cを実施して、更にDも実施したと判断されるため。)

■例2
A:液体を吸い上げることが可能であり、かつそのまま食料となる食用ストローであって、
B:馬鈴薯を棒状に切断してブロック片を形成し、
C:前記ブロック片を食用油で揚げた後、前記ブロック片の両端部を切断して、
X:食用ストロー。

Cの要件を実施しないは特許権の侵害にならない。
(A〜Cの全てを実施しなければ特許権の侵害にならないため)

更新日:

Copyright© Techlogate , 2021 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.