進歩性について

ポイント!
・複数の先行技術を組み合わせて本件のクレームなる場合は進歩性がない可能性がある。

 進歩性の判断手法 

【前提】
・進歩性の判断手法は各国で異なる。この章で説明する進歩性判断手法は欧州、中国での判断手法。
⇨非常に分かりやすく、全世界でスタンダードになりつつある判断手法。
⇨厳密には日本の判断手法と異なるが、結果は両者ほぼ同じと考えても問題ない。

【判断手法】
・本願クレームと1つ目の先行技術との差分を明らかにする。
・その差分に該当する他の先行技術がある場合、本願クレームは進歩性がない場合がある。
・進歩性の判断は専門家でも難しい。必要な情報を提示して、最後は専門家に判断してもらうのがよい。

【例(一般論)】
■STEP1:本願クレームと1つ目の先行技術(主先行技術)との差分を抽出する。

本願発明の内容 1つ目の先行技術 差分
■本願発明の構成(=クレーム)
AとBとCを有する○○

■本願発明の効果
△△、□□に優れる
■先行技術の構成
AとBを有する○○

■先行技術の効果
△△に優れる
■構成の差分
Cを有する○○

■効果の差分
□□に優れる

補足:1つ目の先行技術の条件はない。どの先行技術を1つ目と設定してもよい。

■STEP2:差分が数値範囲の差のみ、又は、羅列の中の一部を選択したのみであるのか否かをチェックする

ケース 本願発明 1つ目の先行技術 結論
<ケースA>
差分が数値範囲の差のみ
先行技術にも数値の記載有り
■本願発明の構成(=クレーム)
Aを10〜20質量%、Bを5〜15質量%含むフィルム

■本願発明の効果
生産性と視認性に優れる
■先行技術の構成
Aを5〜50質量%、Bを5〜50質量%含むフィルム

■先行技術の効果
省略(何でもよい)
数値範囲の差のみに該当する
⇨進歩性無しの可能性大
<ケース B>
差分が数値範囲の差のみ
先行技術に数値の記載無し
本願発明の構成(=クレーム)
Aを10〜20質量%、Bを5〜15質量%含むフィルム

■本願発明の効果
生産性と視認性に優れる
■先行技術の構成
AとBを含むフィルム

■先行技術の効果
省略(何でもよい)
数値範囲の差のみに該当する
⇨進歩性無しの可能性大
<ケースC>
羅列の一部を選択したに過ぎない
■本願発明の構成
AとBを含むフィルムであって、Aはa1であり、Bはb1である。

■本願発明の効果
生産性と視認性に優れる
■本願発明の構成
AとBを含むフィルムであって、Aはa1、a2、a3、a4のいずれでもよく、Bはb1、b2、b3、b4のいずれでもよい。

■本願発明の効果
省略(何でもよい)
羅列の一部を選択したに過ぎない
⇨進歩性無しの可能性大
<ケースD>
差分が数値範囲以外にもある
本願発明の構成(=クレーム)
Aを10〜20質量%、Bを5〜15質量%、Cを5〜15質量%含むフィルム

■本願発明の効果
生産性と視認性に優れる
■先行技術の構成
Aを5〜10質量%、Bを10〜15質量%含むフィルム

■先行技術の効果
省略(何でもよい)

「Cを5〜15質量%」が数値以外の差
⇨数値範囲の差のみに該当しない
⇨STEP3に

 

■STEP3:ケースDの中で以下のどのケースに該当するかを確認する

ケース 条件 結論
<ケースD-1>
差分の構成と効果のセットを記載した先行技術があるケース
「Cを有する○○が□□の効果に優れる」と記載されている2つ目の先行技術が有る 進歩性が無い可能性大
・進歩性が確実に無い訳では無い点に注意
<ケースD-2>
差分の構成を記載した先行技術はあるが、差分の構成と効果のセットを記載した先行技術は無いケース
「Cを有する○○」を記載した2つ目の先行技術はあるが、「Cを有する○○が□□の効果に優れる」と記載されている2つ目の先行技術は無い 進歩性有りと無し半々
・本願クレームの効果の予測がつきにくい化学の分野では進歩性有りになりやすい。
・本願クレームの効果の予測がつきやすい構造の分野では進歩性無しになりやすい
<ケースD-3>
差分の構成を記載した先行技術が無いケース
「Cを有する○○」を記載した2つ目の先行技術が無い 進歩性有り

・進歩性を判断する場合は、上記ケースのどれに該当するかとの情報を専門家に提供し、専門家に判断してもらうべき。
・D-3のケースは進歩性あり。少なくともD-2までないと進歩性を確保することは難しい。
・D-2やD-3のケースに該当しない場合は、本願のクレームがD-2やD-3のケースに該当するように文言を修正しなければならない。

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